「介護のきっかけって何?」「介護が必要になったら大変だから、できる限り予防したい(予防してほしい)」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。
親に介護が必要になったら、自分が介護状態になったら、少なくとも今までと同じ生活は難しくなります。
いつかは必要となることかもしれませんが、「可能なかぎり元気に生活したいと思っている」という方は多いですよね。そのためにも、介護のきっかけとその予防法について正しい知識を持っておくことは大切です。
ここでは、介護のきっかけとなる骨折・転倒について、その予防法とともに紹介します。
この記事を読んで分かること
- 介護のきっかけとなる病気が分かる
- 転倒・骨折の危険性が分かる
- 転倒・骨折の予防法が分かる
突然始まる「介護」
介護は「突然」始まるケースが多く、不安に感じる方も多いかもしれません。生活環境の準備はもちろんですが、心の準備もできていないことがほとんどです。
「介護が急に始まる」のには、何らかのきっかけがあるもの。高齢者が介護状態に陥る主なきっかけとして以下の3つの要因があります。
- 脳血管疾患
- 骨折・転倒
- 心疾患

うちの両親は持病は持っていないよね?

お母さんはちょっと痩せ気味だから、転んだら骨折する可能性あるよ。お父さんは糖尿病だから、血管系の病気が怖いし、太ってるから転倒の心配もそうだけど、膝とかへの負担もあるなあ。
骨折や転倒は誰にでも起こりうる
「元気だった親が寝たきりになってしまった」という原因の多くとして考えられるものが、「骨折・転倒」です。
「要介護」状態までにはいたらなくても、「要支援」の判定を受ける要因のひとつでもあります。
原因は、加齢による足腰の衰えです。つまり、誰にでも訪れる可能性が高いといえます。
転倒・骨折の危険性を測るポイントとして、以下のようなことをチェックしてみてください。
- 身体や移動能力が低下してきていないか
- 生活能力は低下してきていないか
- 家の中につまづきそうな場所はないか
身体や移動能力が低下してきていないか
身体は使っていなければ衰えていきます。まずは、外出頻度やできなくなったことなどを数字化してみましょう。

お母さんは割と買い物とか友達と出かけたりしているよ。週に3回くらいかな。地元のサークルとかにも行ってるし。お父さんは家にいることが多いみたい。

でも二人で買い物とか旅行とか行くでしょ?

買い物は毎日行くわけじゃないよ、週2回くらいかな。お父さんは普段は家でゴロゴロしていることが多いと思うよ。ゲームしてたりもするね。出かけるときは車が多いみたいだし。
立ち上がりまでに時間がかかる、歩く速度が遅くなった、なんにもないところでつまづくなどの様子も身体能力の低下がみられる兆候です。
生活能力は低下してきていないか
生活能力とは、主に家事全般を示します。買い物や調理、掃除や洗濯など。チェックできるなら、冷蔵庫の中身に消費期限切れのものが溜まっていないか、同じものが複数購入されていないかも確認しておくといいでしょう。

二人暮らしだからね。お母さんがほとんどやってると思うけど。食品の賞味期限はどうだろう。でもお父さんがよくお母さんに注意しているのを見るから大丈夫そう。同じものを何個も買っているような感じはないよ。

お父さんよくおなか壊すから、そのあたり敏感だもんね。消費期限は私も注意しないといけないところだから、あんまり人のことも言えないわ。
このチェックは、認知機能を確認するうえでのポイントにもなります。認知機能の低下は、危険予測につながることでもあるので、日ごろからチェックしておくといいでしょう。
家の中につまづきそうな場所はないか
人の動線(行動範囲など)を考えて、歩行の妨げになるものはないかをチェックしてみましょう。普段何気なく生活している場所も、つまづきの原因になる可能性があります。
以下のようなチェックリストを使うと分かりやすいです。ポイントは注意する点です。
| チェック項目 | ポイント |
| 玄関までのアプローチに段差がある | 1段だけの段差も危険 |
| アプローチが滑りやすい素材(タイル・石など) | 雨の日や濡れた日が特に注意 |
| 手すりがなく、身体を支える場所がない | 坂道や階段がある場合は必須 |
| 昼間でも玄関前が暗くて足元が見えづらい | センサーライトの設置がおすすめ |
| アプローチに植木鉢・ホース・物置など障害物がある | つまずきやすい要因に |
| アプローチや庭の舗装がひび割れている/ガタガタしている | つま先が引っかかる恐れあり |
| 砂利や土の道で歩くと足を取られる感覚がある | 安定した舗装に変更を検討 |
| 雑草が伸びていて歩く場所がわかりにくい | 定期的な手入れ or 防草対策を |
| 玄関ポーチに雨の日に水がたまりやすい場所がある | 滑りやすく危険 |
| 夜間に玄関・門灯が暗い/つかないことがある | 照明は防犯にも効果的 |
家の周りには、見落としがちな転倒リスクがいくつも潜んでいます。
特に高齢になると、ほんの少しの段差や障害物でも大きなケガにつながることがあるため、定期的な点検が大切です。
廊下に物が置いてあると、つまづきの原因にもなるので、片づけておきましょう。
ほかにも、以下のようなところも注意が必要です。声掛けも大切です。
- 廊下に物が置いてある
- 部屋の段差や引き戸・開き戸の敷居、レール
- カーペットのめくれ
- スリッパの履き替え時
トイレやお風呂など、立ち上がり時に時間がかかるようになっている場合には、手すりがあると便利です。部屋と部屋の間の段差に危険はないかなどもチェックしておきましょう。

うーん。体重の増加も転倒・骨折の原因になるからなあ。体重ばっかり増えて足元が弱くなってきたら、転びやすくなるし、膝とか痛みが出てくるでしょ。

そっか、じゃあ心配はお父さんだね。

いやいや、お母さんも痩せ型だから、転倒して骨折する可能性あるよ。体重で膝に負担があるわけじゃないけど、骨粗しょう症も気になるし。カルシウムとかたんぱく質とかちゃんと摂ってるかなあ。
転倒・骨折の予防法
具体的にどのような予防法があるでしょうか。ここでは、次の3点について解説します。
- 運動習慣をつけて筋力を保持する
- 栄養のある食事を心がける
- 必要な部分をリフォームする
運動習慣をつけて筋力を保持する
骨折や転倒をしないだけではなく、今の生活を維持するためにも、運動習慣をつけて筋力を保持することはとても大切です。
特に足腰を日ごろから鍛えておくことで、歩行の不安がなくなり、安定性を維持できます。

お母さんは週に1度、地域の健康教室に通っているよ。問題はお父さんだよね。昔から運動なんてしない人だし、ランニングもウォーキングも続いたことないし。お父さんも運動教室に一緒に行けばいいのに。

本格的な運動じゃなくてもいいんだよ。お父さんって形から入る人だからさ、すぐ飽きちゃうしね~。続けることが大事だから、ゲームの合間にでも、かかと上げや踏み台とか始めるといいんじゃない?
栄養のある食事を心がける
高齢者のなかには「食べたくても食べれない」「昔のように食べることが楽しくなくなった」という方も。しかし、バランスの良い食事を心がけることは、筋力・体力のアップや骨のもろさをカバーし、転倒や骨折を防ぎます。
危険なのは、骨粗鬆症のように骨がスカスカになること。骨のもろさは、骨折しやすさに直結します。それを防止するためにも、栄養バランスの良い食事をとりましょう。

特に閉経後の女性は、ホルモンバランスから骨粗しょう症になりやすいの。意識的にカルシウムはとったほうがいいよね。

そうなんだ。カルシウムって言うと牛乳とか、チーズとかの乳製品かな。小魚なんかもよさそうだね。

そうだね、ほかにも肉や魚、豆類などのたんぱく質も必要だよ。筋肉や血を作ってくれるから。動くためにはパワーがいるものね。面倒だからとって菓子パンで済ませてばかりではだめよ。たまに嗜好品としてとるのは問題ないけど、食事には栄養が大切。
必要な部分をリフォームする
上記の点をチェックして、必要ならばリフォームを検討することも大切です。
たとえば、玄関の階段が上がりにくくなったり、長い廊下には手すりを付けたりするなど、リフォームは、生活しやすい環境に整えることを目的としています。
自分たちが使いやすい家になるようにしておくことも、ずっと自宅で住むことへの第一歩ともいえるでしょう。
リフォームの中には、自治体から支援金を得られるものもあるので、自分が住んでいる地域ではどんなことをサポートしてくれるのかを事前に調べておきましょう。

リフォームなんて考えてないよ、たぶん。皆お嫁に行ったから、あとは死ぬまでここで住めればいいって言ってたもん。

でも死ぬまでに住んでいたいなら、逆に家の中を安全にしておかないといけないんじゃない?玄関の段差も心配だし、これからのこと考えたら転ばないような設計の家にしとかないと危険がいっぱいでしょ。
まとめ
「今の家に住みつづけたい」
多くの方がそう思っているのではないでしょうか。
でも、身体が動かなくなってしまったら、寝たきりで誰かのサポートが必要になってしまったら、その思いは断念せざるをえないかもしれません。
とはいえ、急にダンベルを持ったり、毎日ランニングを始めたりすることは、高齢者にとってかなり負荷がかかるため、おすすめできません。
高齢者はさほど負荷のかかる運動はせず、今ある筋力や体力を維持できる程度に、日常的に体を動かすことが大切です。
定期的に外で友人と会ったり、散歩をしたりするなど外に出る習慣を持つようにしましょう。
元気なうちにできることから始めることが大切です。まずは運動習慣や生活の見直しから始めましょう。
