「親の介護が必要になったら、在宅介護をすることになるの?」
「在宅介護では、具体的に何をすればいい?」
「家族だけで介護をしなければならないの?」
介護が必要になったとき、このような不安を感じる人も少なくありません。
在宅介護とは、自宅で生活を続ける高齢者を支える介護の形です。しかし、家族だけですべての介護を担う必要があるわけではありません。
介護保険サービスや専門職のサポートを利用しながら、自宅での生活を続けることもできます。
このサイトでは、介護職として10年以上、認知症介護やケアマネジャーとしての実務経験を積んだ筆者が、実際の現場で感じたことや公的な情報をもとに、初めて介護に向き合う方にも分かりやすくお伝えします。
この記事を読んで分かること
- 在宅介護の考え方
- 在宅介護の愚弟的な内容
- 在宅介護で利用できるサービス
- 在宅介護の始め方
在宅介護とは?
在宅介護とは、自宅で生活を続けながら受ける介護のことです。「介護が必要だけど、自宅に住み続けたい」という方も多いです。でも問題は、「誰かの手を借りなければ生活できない」ということですよね。
そのような場合に利用するのが介護保険をはじめとする介護支援や生活支援サービスです。人の助けがあればまだ自分の家で生活できる、という場合に、今の生活を続けられるようにサポートしてもらいます。
ここで大事なのが、多くの人が持っている「在宅介護は家族が行うもの」という印象ですが、これは必ずしもそうではありません。
家族がいない人はかわいそう?そうではない。
たとえば、「介護は家族が行うもの」ならば、一人暮らしで配偶者や子供がいない方はどうなりますか。「あの人は家族がいないから、介護にも外部のサービスに頼らなければいけないなんてかわいそう」これは間違いです。
介護が必要な時代は誰にも訪れる当たり前のことです。これは加齢に伴って起きる症状なので、誰にでも起こりえます。また、そのために介護保険という仕組みがあるだということを理解しましょう。
今、介護というジャンルで起きている悲しい事件は、これらの認識違いから生まれているものではないかと、私は考えます。
介護が必要な時は誰にも訪れる
- 介護は誰にも必要なものである。
- 介護は必ずしも家族が行わないといけないものではない。
介護に携わるときが訪れたら、以上2点を忘れないでください。
もちろん、「大好きなお父さん、お母さんの面倒を見たい」という気持ちは大事です。しかし、そのために自分の生活スタイルを犠牲にするようなことは、できるだけやめましょう。
「家族」が介護に必要な場合
「家族」が介護に必要な場合は、以下のような場合です。
- 介護を受ける人が介護保険サービスなどを利用する場合、申請が難しいときの代理人として
- 身元引受人としての役割
身元引受人とは、介護を受けていた人が亡くなったときに、遺体の引き取りや施設・病院等の利用料金の精算、居室の荷物の引き上げ、葬儀や火葬の手配などの対応を行う人のことです。
もし家族がいなければ、保証会社や保証サービスを利用する、成年後見人に代行してもらうなどの対応ができます。
必ずしも、「家族だから介護しなければいけない」ということではありません。
費用面の負担も家族だからと負うものではない
また、介護にかかる費用についても、家族が負担するものではないという認識を持つことも大切です。
また、そのために介護保険があることを覚えておきましょう。介護保険の保険料納付は40歳から65歳までの全国民に課せられています。
病気になったら、事故で怪我をしたら、と任意の医療保険や生命保険に入っている方も多いでしょう。
病気や事故になったら、その人の全てを家族が担いますか?誰でもまず自分の入っている保険を確認するでしょう。資産がある方で保険に入っていない方なら、自分の預貯金で賄うはずです。
介護保険についても同様です。なのに、なぜか介護保険を利用したくない、という方が一定数いらっしゃるようです。介護保険は、介護が必要になったら利用するものなのです。自分で掛けていた保険なのですから、それは当たり前のこととして認識しましょう。
在宅介護と施設介護の違いとは?

ここでは、在宅介護と施設介護の違いや、誰が在宅介護を支えるかについてまとめています。
在宅介護と施設介護はどう違う?
「在宅介護」は、自宅で生活を続けるために介護を受けることですが、それとは別にもうひとつ介護を受けるスタイルが「施設介護」です。
施設介護では、在宅介護とは違い、自宅以外の場所で介護を受けます。在宅介護と施設介護の違いを下の表にまとめたのでご覧ください。
| 在宅介護 | 施設介護 | |
|---|---|---|
| 場所 | 自宅 | 自宅以外の施設 |
| 介護を行う人 | 家族+介護サービスを行う人 | 施設職員が中心 |
| 特徴 | 本人の生活環境を維持しやすい | 24時間体制の支援を受けられる |
介護を受ける場所はさまざまあり、その時のその人の状況によって異なります。主な施設は以下の通りです。
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者住宅
- グループホーム
介護保険の利用にはルールがある
介護保険には、在宅での生活を支えるサービスが多くあります。そのなかから、自分に必要なものを選んで利用することで、自分ひとりではむずかしい生活を続けていけるのです。
ただし、介護保険の利用にはさまざまなルールがあります。とても便利なサービスが多くあるので、いろんなサービスが受けたいと思っても、できない場合もあることを覚えておきましょう。
在宅介護では具体的に何をする?
在宅介護では、主に以下の3つのサービスが受けられます。
- 日常生活の介護
- 生活を支えるサポート
- 見守りや認知症への対応など
それぞれ詳しく解説するので、ご覧ください。
日常生活の介助
日常生活の介助には、主に以下のようなことがあります。
- 食事
- 入浴
- 排泄
- 着替え
- 移動
ただし、必要な介助の内容や程度は、介護を受ける人の身体状態や生活環境によって異なるものです。
たとえば「入浴」といっても、見守りがあれば自分で入浴できる人もいれば、自宅の浴室での入浴が難しく、訪問入浴などのサービスが必要になる人もいます。
このように、在宅介護では「何の介助が必要か」だけではなく、本人がどこまで自分でできるのか、どのような環境で生活しているのかを考えながら、必要な支援を組み合わせていきます。
以下に、入浴を例として、身体状態や必要な支援に応じた介護サービスの一例をまとめました。
| 身体状況 | 支援内容 |
|---|---|
| 浴室までの移動や入浴に不安がある | 訪問介護、訪問看護 |
| 自宅での入浴が難しいが、通所できる | デイサービス |
| 自宅の浴槽での入浴が難しい | 訪問入浴 |
| 看護師による健康状態の確認も必要 | 訪問看護 |
| 浴室への手すり設置などが必要 | 住宅改修 |
このように、入浴というひとつの場面だけを見ても、本人の身体状態や生活環境によって、必要となる支援はさまざまです。
身体状況はもちろんですが、本人の性格や環境によってもサービスは変わります。「入浴に困っている」というひとつの要因に対して、本人がどこまでできるのか、家族はどこまで支援できるのか、自宅の環境に問題はないかなどを考えながら、支援方法を検討することが大切です。
生活を支えるサポート
生活を支えるサポートには、以下のような内容のものがあります。
- 食事の準備
- 掃除
- 買い物
- 通院
- 服薬の確認
上記は、訪問介護サービス内で支援を受けられます。ですが、注意したいのは、介護保険では介護度によって利用できるサービスの量が決まっていることです。介護度が高くなるにつれて、利用できるサービスが増えていきます。
また、生活支援のサービスは、独居の人が対象となります。同居の家族がいる場合は、その家族が支援できると考えられるためです。
介護保険サービスには、必要なサービスを必要なだけ支援を行い、対象者の自立した生活を支える、という目的があります。このような仕組みがあることを知っておくと、在宅介護でどのような支援を組み合わせればよいか考えやすくなります。
だからこそ、本人の状態や家族の状況を踏まえて、どのサービスを組み合わせるかが大切です。

家族がいる=人手があるということで、親と同居している場合は、在宅介護の生活支援サービスは受けられないんだね。知らなかった。でも、実際は仕事をしているから、日中のケアとかはできないよね。そのあたりはどうなるんだろう。

そうだね、もし介助が必要な場合なら、日中誰もいなくなったときに訪問介護のサービスを利用することは可能だよ。ただ、生活支援って、買い物や入浴の時の見守り、食事の支度など、生活に根付いたサービスは受けられないと認識したおいたほうがいいかな。

知らなかった。でも確かにそうだね。でもお父さんやお母さんが一人暮らしの場合は、私たちも毎日通えないから、見守りのサービスを入れたり、買いものや食事作り、お風呂の掃除とかも一緒にしてくれたりするんだね。それは心強いね!
見守りや認知症への対応
認知症では身体介助以外の支援も必要です。身体的な介助だけではなく、見守りや服薬管理などの支援も必要になります。
認知症への対応では、対象者の認知症の進度によってサービス内容が異なりますが、見守りや状況確認などを通常のサービス内容に含むことで、より対象者の安全を守るサポートが可能です。
また、サービス提供者内での対象者の状況確認においても、訪問介護による見守りサポートは大変重要です。施設介護を検討する時期なども家族に情報提供ができます。
つまり、認知症によって、在宅生活のどんな場面で困るようになったのか、に焦点を当ててサービスの利用を検討するとよいでしょう。
認知症だから、ではなく、できないこと、できなくなったことをリストアップし、そのサポートを行ってもらうようにすると、スムーズにサービス利用につながるのではないでしょうか。
認知症の方が利用できる介護保険サービスについては、こちらの記事でもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
こちらをチェック→認知症の介護サービスとは。|介護サービスの種類や特徴について解説
在宅介護を始めるには?最初にすることを確認しよう
在宅介護を始める場合、最初にすることは、介護認定を得ることです。介護保険を利用する場合、要支援から要介護5までどれかの介護認定を受ける必要があります。
介護認定を受けるには、以下の場所へ相談しましょう。
- 地域包括支援センター
- 各自治体の役所
- 各病院の相談窓口
それではひとつずつ見ていきます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターとは、住んでいる地域にある高齢者の福祉や医療についての相談窓口です。全国に5000カ所以上設置されており、社会福祉士や保健師、主任介護支援員などの社会福祉のプロがそろっています。
「介護保険を利用できるかどうかわからないけど相談したい」という場合には、こちらがおすすめ。ケアマネージャーの紹介などもしてくれます。地域に根付いているので、お住まいの地域から近くにある医療施設や介護施設の紹介なども対応してくれます。
また、介護保険の利用に際しては手続きの方法なども詳しく教えてくれますよ。
各自治体の相談窓口
各都道府県の自治体にも、高齢者福祉の相談窓口を行う部署があります。「健康福祉課」や「高齢福祉保健課」など名称は様々ですが、介護保険の相談に対応しています。
「どこにかけていいかわからない」という場合は、まず役所の代表窓口に電話で連絡し、聞いてみましょう。
介護保険の担当者に、介護保険の利用を考えていることを伝えれば、その手順やしかるべき対応方法を教えてくれます。
各自治体の相談窓口については、以下の記事内にその一例を掲載しています。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
こちらをチェック→認知症かなと思ったら|早期受診のメリットや受診相談のポイント、相談窓口を知っておこう
まとめ
「介護が必要になった」と感じる場面は、人それぞれ。まずは、今現在でどんなことに困っているか、何ができて何ができなくなったかを整理し、必要なサポートを考えましょう。
在宅介護は、介護を必要とする人が住み慣れた自宅で生活を続けながら、必要な介護や支援を受けることです。
対象者の身体状況だけではなく、性格や生活環境、家族がどこまで支援できるのかによっても、必要なサービスは変わります。
また、在宅介護では、本人や家族だけですべてを抱える必要はありません。介護保険サービスなどを上手に利用しながら、その人らしい生活をできるだけ長く続けられる方法を考えていきましょう。
「何が必要かが分からない」「何のサービスを使えばいいのかわからない」と感じる場合は、まず今困っていることをひとつずつ整理し、ケアマネジャーなどの専門職に相談してみましょう。
さらに知りたいという方はこちらの記事もチェック
・介護のきっかけについて知りたい方はこちらの記事もチェック→ある日突然介護が始まる。そのきっかけとは。
・認知症チェックリストについて知りたい方はこちらの記事もチェック→認知症チェックリストを活用しよう!介護が必要かどうかを区別するポイントは?
ほかにも介護についての記事を多数掲載しています。高齢者介護について知りたいという方はぜひ参考にしてみてくださいね。
✍️この記事を書いた人
miri
介護福祉士・ケアマネジャーとして10年以上介護現場で勤務。
認知症ケアを中心に多くの利用者やご家族を支援してきました。
このブログでは、介護の経験をもとに、介護や認知症、お金に関する情報を分かりやすくお届けしています。
